第1章

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終業式の朝、学校に向かう途中 「おはよ、センセ。」 いつものように加藤くんが声をかけてきた。 「おはよう、夏休みだねー。」 「受験生には休みはないけどな。」 「そうねー、みんな塾にいったり、勉強が忙しいね。」 「先生たちは休みは?」 「研修や3年の強化学習があるから、そんなに休めないわよ。 ところで中村さんとはどうなったの?」 「ああ、遊びじゃなかったって言ってきたけど… 遊びじゃないなら付き合えないと伝えた。 お互い遊びだと思ったから抱けたけど、本気なら無理。 たぶん俺は人を好きになれない。」 「そんな寂しいこと言わないで。 好きな人がいるって素敵なことだよ。ワクワクドキドキして世の中が生き生きして見える。一緒にいるだけで幸せな気持ちになれるの。 焦ることはないよ。加藤くんにもいつかそんな人が現れるから、その人を見逃さない為にも愛の無い付き合いはやめた方がいいかもね。」
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