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次第に、暗くなっていく。
パレードが終わりを告げる。
「・・・橘?・・・・・・橘!」
後ろに俺がいないことに気づいた瀬戸が、俺を呼んでいる・・・気がした。
しかし確かめる術はない。
なぜなら俺は、すでに遊園地の外にいたから。
まったく・・・愚かすぎだろ、俺。
愚か過ぎて笑いが出てしまう。
『みんながお前を好きになるの、わかるわ』
あんなの、大嘘だ。
みんなよりも、誰よりも・・・瀬戸のことを好きになったやつが、いるだろうが。
何をしても受け入れてくれたあいつに、
本気で惚れたやつがいるんじゃないのか。
「ふふ、はははは・・・・・・」
笑いながら、俺は歩いていく。
その笑いはもう、醜くはない・・・はずだった。
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