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翔太は飲んでいたコーラのストローを口から話して言った。
「うん、すっごくよかったよ」
「えーっ!貴志くんミスサタのファンなんだ?」
すかさず、さくらが会話をかぶせる。
「そうだけど」
「へーっ、偶然!菜月、この前ミスサタのライブに行ったんでしょ?」
さくらは、となりに座る菜月の肩を揺らしながら、尋ねた。長い黒髪もサラサラ揺れる。
「うっ、うん、そうだけど」
菜月が髪を懸命に手で押さえ付けながら答える。
「えっ!それって、もしかしてドームでやってたライブのこと?」
貴志はテーブルに身を乗り出すようにして聞いた。
翔太とさくらは、ひっくり返りそうになるプラスチックテーブルを素早く押さえた。
「そうだよ」
「マジで!おれ、行きたかったけどチケット取れなかったんだよ」
「私、ファンクラブ入ってるから」
「えっ!菜月ちゃんファンクラブ入ってるの!すごい!」
二人の会話を眺めていた翔太が、スッと席を立った。
「さくら、そろそろ行くか」
貴志と菜月の会話を断ち切るような翔太の行動は、ちょっと唐突だ。
「えっ、まだ食べ終わったばかりじゃない」
「あのお化け屋敷は人気があるから混むんだよ。昼飯時のうちに行った方が空いてるって」
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