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二人の朝
「!!!?」
翌朝、案の定桜はパニックを起こしていた。ボサボサの髪に、昨日着たままのブラウスは胸元一つボタンが外れている。腕時計も枕の上。気づくと窓の外は明るくなって、大きめのベッドに自分と上司が眠っているのだから何かあったと思ってしまうもので。
「だから、何もしてねーよ。お前先に潰れやがって」
心地よい眠りを大声で邪魔され、明らかにめんどくさげな返事を寄越す。怠惰に起き上がる仕草は開いたワイシャツの胸元が妙に色っぽく、更に桜を混乱させる。
「ど、ど、どんだけ酒上戸なんですかッ!もうシャワー借ります!!」
間近にある青みがかった黒の瞳が桜を見つめると、体が思うように動かない。緊張と動揺で訳が分からなくなり仕舞には勝手にシャワーを借りに行ってしまった。
「はっ、なんだよ。寝てるときは可愛かったのに」
頭をガシガシとかきながら悪態をつくがその顔には笑みが浮かんでいた。
今日は休日のため、いろいろと話が拗れる事なく一旦落ち着いた。
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