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「なんでこんな広いの……」
喫驚を越えてため息しか出ない豪華な部屋。ここは高級マンションの最上階、ペントハウス。
「絶景だろ?」
得意げな部屋の主人の声がする。
窓に近づいて夜景を見る。見渡す限り、キラキラとした都会の街が一望できる。
「おい、飲み直すぞ」
ビール片手に後ろから部長の命令が飛ぶ。結局数時間後には桜は酔い潰れることになる。
眠ってしまった桜を寝室のベッドまで運ぶ。広いふかふかのベッドにゆっくりと降ろしてやる。すると気持ち良さそうに寝返りをうった。
「ふう。……ったく弱ぇなぁ」
そっと近くで顔を覗く。赤く火照った柔らかな頬に手を添えてやると、冷たさが気持ち良かったのか幽かにふにゃりと微笑んだ。それを見つめて桐島はある思いを悟った。
「桜……」
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