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そして冒頭に戻る。
桜は部長室へ駆け込む。
「どーした?」
そこには待ってましたと言わんばかりに堂々とイスに座りニヤリと笑う部長もとい桐島がいた。
「どーしたじゃないです!どーいう事ですかっ!なんで私が秘書なんかにっ」
むしり取ってきた辞令の紙を目の前に叩きつける。
桐島はイスから怠惰に立ち上がると、桜を抱き締めた。
「なっ…」
怒っているのにこの態度はどう言うことかと動揺する桜の耳元でまた腰の抜けるほど低い甘美な囁きが聞こえる。
「これでいつでもお前といられるからな」
つーっと首筋を唇がなぞっていく。そしてあの夜に付けられた跡にそれが触れる。びくっと反応するが、苦し紛れに悪態をついてみせる。
「そーいうのって、職権濫用って言うんですよ…っ」
「使えるもんなら何だって使うんだよ、それも特権のうちだ」
不敵に笑う上司であり恋人に適うはずもないと、覆い被さり降ってくるキスの嵐を甘んじて受け入れるのだった。
Fin
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