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半年間後には出て行ってくれるのが条件という安アパート。 敷金礼金無し。 二万五千円。 六畳風呂、台所無し。 共同トイレ。 住所は東京下町に住み始める。 「若草荘」壱号室 条件こそ付いてるが、取り敢えずの宿を手に入れた。 なんでもマンションに立て直すまで繋ぎだそうだ。 上京したばかりで手荷物さえない。 僕は寝ていると、なんか違和感を感じずにはいられなかった。 体が重い。 しかしそれは気のせいだろう。 その日、僕は口から目から鼻から蛆が湧きだす。 「うわっ」僕は目を覚ました。 汗びっしょりだ。  心拍数も早い。 「夢か」 ヤバい夢を見たな。 事故物件なんだろうか? 毎晩のように変な夢にうなされる。 家賃を削ったせいか。 とは言え、東京に知り合いもなく、金がない。 住むところなんてどうでもいい。 僕は取り敢えずバイトを探すことにした。 このアパートじたい、つなぎで入室したに過ぎない。 だからと言ってネット喫茶暮らしは嫌だし。 それで敷金礼金無しで激安物件と言うと、ここしかなかった。 取り敢えず半年後までに貯金をして、他の場所に移るしかない。 場所的には学生が多いせいで学生向けのバイトがいくつもあった。 その夜も蛆虫が体中の穴という穴から湧き出す夢を見た。 目を覚ますと、汗。 頭が割れそうなほど痛い。 トタンの屋根は直接太陽をうけて焼けているせいか、部屋の中は外よりはるかに熱い。 どうも体が重い。熱中症か? ボーっとする頭で僕は外に出た。 風が涼しい。 でも頭痛は消えない。 一日中扇風機を浴びてるせいかもしれない。 理由は分からないが扇風機を浴びて寝て死ぬなんて話、よく聞いた。
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