第3章 幕末ギャング

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第3章 幕末ギャング

 高柴は会津浪士で南部連合との共闘を約束していたが薩長軍に寝返った。  死んだ中尾の描いた『幕末ギャング』の中での設定だ。これで小説家の卵がまた1人死んだ。   残り18人 「幕末ギャングはミステリー要素はないのに、何で中尾は殺されたのかね?」  死地を脱した尾藤教頭が言った。  CSAの兵士は牙城綾香が隠し持っていたケータイ型マシンガンによって射殺された。 「解き明かされちゃマズイ謎でもあったんじゃないんですか?」  金田一拓海が言った。    学園内で殺人事件があったってゆーのに補習の授業があった。蝉がけたたましく鳴いている。  拓海は綾香や尾藤に挨拶をして3階に向かった。  3年1組、ドイツ語のハル先生の教室だ。  最初は女性だと思った。NHKで朝の連続テレビ小説を演じたあの女優をイメージしていた。 『なんで?なんで?』 「やぁ?金田一、犯人はつかまったのかい?」 「僕はあの名探偵の孫ではないんですよ?岩手の方だとよくある名字なんすよ」 「そうなんだ?」  ハルは日本人顔負けの日本語ペラペラだ。  クラスには拓海も含めて4人しかいなかった。 「金田一くん、遅いわよ?」  ポニーテールの女子が言った。桜木凛子、1年生のとき同じクラスだった。AV女優に彼女によく似た美女がいるんだ。顔じゃなくて名前だけどね?  こっちの桜木はトドみたいに太ってる。 「動物園に帰れよ?」  ハルは黒板に《セッグ》とチョークで書いた。 「最上、この意味が分かるか?」  最上はニキビだらけの生徒だ。隣の5組の男子だ。「カーンチ、セッグスしよう?」 「東京ラブストーリーか?懐かしいねぇ?あれに中山秀征出てたんだよね?カンチ、あたし電池切れちゃった?」  ハルが鈴木保奈美のセリフをしゃべる。赤い傘のナカでカンチとリカがいー感じになるんだったよな?ママが若い頃に流行ったドラマだ。  チンピラみたいなアフロヘアーの男子が言った。 「おっ、寺島わかるのけ?」 「なんでハル先生ってドキドキなまるの?」 「なんでたろ~?なんでだろ~?」  ハルがテツともの真似をする。 「セッグは戦士って意味でーす!チェストー!」  寺島が日本刀を抜いてハルに斬りかかった!  ブシューッ!血飛沫が上がった。 「ワシは中村半次郎だ!」  そーいや『幕末ギャング』では寺島が薩摩のアサシン、中村半次郎に突然変異するシーンがあったな?
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