第1章 推理小説禁止令

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 被害者は仁科不由美って1年生だ。 「まだ若いのに可愛そうにねぇ?」  禿げ頭の刑事が言った。  スピーカーから聞こえたあの声はなんだったのだろうか?  牙城先生はスマホをいじっていた。 《デロス島殺人事件 仁科不由美》  女装の政治家が主人公だ。格闘家のソロンとはBLな仲だった。ソロンはアテネ時代に同性愛に刑罰を設けた実在の貴族だが、小説のナカでは格闘家になっており、舞台も2020年になっている。 「えぐい小説ですね?」と、拓海。 「ソロンは学校や闘技場からゲイを追い出したの」 「先生ってBLに興味があるの?」  刑事がサラッと言った。 「うるさい、ハゲ!」  古代のローマから頬にする友情のキス、口にする親愛のキス、舌で絡め合う性愛のキスの3つのキスがされてきた。  教師なんかやめて官能小説家目指そうかな?  トリマルキオってローマ時代のモーホーは嫉妬深い奥さま、フォルトゥナタと別れるために彼女の目の前で熱いキスをした。  逃亡画家のカラヴァッジョもモーホーだったって噂だ。 「ペロプスって少年はポセイドンとエッチするために戦車をもらっていたのよ?」  拓海は過激な発言をする牙城先生にメロメロだった。佐東なんか戻ってこなけりゃいーのに! 「犯人は推理小説禁止令を出したわ、死にたくなかったら拓海くんもジャンルを変えた方がいいわ?」 「今からですか?」  放送室は誰でも入れた。犯人は2人いるのかしら?屋上から突き落としたあと、すぐにあの犯行声明は聞こえてきた。  参加者 残り19人  
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