第6章 黒島刑事の苦悩

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第6章 黒島刑事の苦悩

 寺島を撃ち殺したことを黒木は悔やんでいた。  17歳の少年の命と未来を奪ってしまった。  学校で刀を振り回すなんて、まるで時代劇みたかった。ハルを助けることも出来なかった。  仁科不由美、中尾孝太郎、ハル…………3人も小説大賞の参加者が死んだ。寺島と幕末からタイムスリップしてきたアメリカの兵士は参加していなかった。  残り17人    黒木は金田一を犯人だと思っていた。  仁科殺しの第1発見者は彼だし?彼がやったに決まっている。桜木凛子、そして最上竜太郎も小説大賞に参加していた。そのことを知っていたので、教室の外で見張っていたのだが、犯人は寺島だった。  それにしても綾香は凄腕だ。  彼女が警察の飼い犬であることは知っていた。  派遣会社ジェノサイドも彼女のおかげで随分、弱体化した。    不知火警察署は小さな組織だ。  捜査課、少年課、警備課が混合したセクションになっている。  署に戻ってきたのは午後7時近かった。 「ご苦労さん」  近藤課長は自席で緑茶を啜っていた。  50代前半だが髪は艶やかでダンディだ。 「課長こそ遅くまでご苦労様です。足でもお揉み致しましょうか?」  彼の足は男のいい香りがする。  あれ?僕ってこーゆーキャラだったっけ?  最近、性癖が変わったように感じる。
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