にじり寄る声の誘惑

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 BKの常連リスナーである少女・葵のツイッターアカウントに、一通のDMが届いた。差出人はBKだった。「二人で会いたい。より良い眠りを」と、それだけ書かれていた。  葵は毎日のようにBKの声を聴きながら眠る。もっとも無防備な時間を捧げている相手なのだから、いつの間にか恋のような感情が芽生えていた。 「会ってみたい」  そう考えるのも無理はなかった。葵は気付けばBKと会う日にちを決めていた。場所は最寄り駅。  正直、顔には期待しないようにしておいた。声だけの配信者リスナーの鉄則。過度な期待はしない。放送外で会う時は最大限の警戒を忘れない。これを何度も心の中で繰り返した。
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