現代SNS七怪異譚

にじり寄る声の誘惑

　ツイキャスやニコニコ生放送、YouTubeなど、今は個人で番組放送ができる時代である。配信者と呼ばれる人々。ラジオのように声だけで配信をするものも少なくなく、キャラクターの見た目に声を合わせて動かす『バーチャルYouTuber』なる存在もいる。

　本名も顔も素性もわからない。だが確かにそこにいて、声だけは存在する。リスナーたちは、その声色や話し振り、何気ない放送内容から、見えない姿を見ようとするのだ。

　それゆえに肥大化した妄想に恋をすることもある。現実世界の姿が空想したソレとは似ても似つかぬ姿であっても気にしない、なんて人もいるという。

　実に把握しきれないほどの数の配信が、今日この瞬間もネットでは繰り広げられている。