第1章 第2の冒険? そのお味は?

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「あのね。 実は……サンタになってほしいの!」 力みすぎてしまったのか、テーブルに手を着き前のめりになってフィリプさんに言った。 「ごほっ。 えーと……話が見えてこない、サンタ? あの、トナカイと一緒にいる?」 フィリプさんが私の話にむせかえす。 「実はね、フィリプさんがいない間に私たち指名で依頼が来たの。 神父さんからだったんだけど、孤児院のクリスマス会への招待と手伝いの依頼。 ……で、依頼内容は孤児院の子供たちへのプレゼントを買ってきて、クリスマス会で配ること。 だからサンタになってほしいなと。 お願い!」 私はぺこりと頭を下げた。 フィリプさんなら、立派なサンタになれるよ。 「うん……なんだ、そんな事か、分かった引き受けるよ。」 思ったよりあっさり引き受けてくれたフィリプさんに、私は拍子抜けだった。 てっきりこういう仕事は嫌だとかいうかと思っていたから。 「良かった。 引き受けてくれるか心配だったの。 ありがとう、フィリプさん。」 私は安堵の表情を浮かべて、椅子に座りなおす。 「良いよ、力仕事も出来そうだし……後、こっちも、この依頼。 猫探しがあって。」 と言って、フィリプさんが依頼用紙を広げて見せてくれた。
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