5人が本棚に入れています
本棚に追加
「あのね。
実は……サンタになってほしいの!」
力みすぎてしまったのか、テーブルに手を着き前のめりになってフィリプさんに言った。
「ごほっ。
えーと……話が見えてこない、サンタ?
あの、トナカイと一緒にいる?」
フィリプさんが私の話にむせかえす。
「実はね、フィリプさんがいない間に私たち指名で依頼が来たの。
神父さんからだったんだけど、孤児院のクリスマス会への招待と手伝いの依頼。
……で、依頼内容は孤児院の子供たちへのプレゼントを買ってきて、クリスマス会で配ること。
だからサンタになってほしいなと。
お願い!」
私はぺこりと頭を下げた。
フィリプさんなら、立派なサンタになれるよ。
「うん……なんだ、そんな事か、分かった引き受けるよ。」
思ったよりあっさり引き受けてくれたフィリプさんに、私は拍子抜けだった。
てっきりこういう仕事は嫌だとかいうかと思っていたから。
「良かった。
引き受けてくれるか心配だったの。
ありがとう、フィリプさん。」
私は安堵の表情を浮かべて、椅子に座りなおす。
「良いよ、力仕事も出来そうだし……後、こっちも、この依頼。
猫探しがあって。」
と言って、フィリプさんが依頼用紙を広げて見せてくれた。
最初のコメントを投稿しよう!