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「猫探しとかどうだろ?
見かけたらでいい。
その探し猫を捕まえて……ぶじ依頼人に渡せばお金くれるし、決められた期限はないから。」
猫さがしの依頼の件だね。
フィリプさんは、慌てて私の手を離すと、そう言って依頼用紙をテーブルの上に広げた。
そんな時にカイアさんはウィムさんから離れて、こっちに来た。
「マロンちゃんとフィリプくん。
昨日はごめんね。
お詫びに、なんだって言うことを聞くよ。」
可愛らしい、大人の笑顔でカイアさんは私たちを覗き込む。
同性の私でもドキッとするくらい可愛い。
「何だって?
じゃ、カイアさん。
人の話は最後までちゃんと聞いてね。
特に依頼の内容の話は。」
私は、初めての冒険の時箱の中身は死の呪いがかかっていることを告げていた。
そこを、カイアさんは聞き逃していたのだと思っている。
だから、怒っているのではなく諭しているのだ。
「聞いてたんだよ。
聞いてんだけど、衝動が抑えられなくて。
ダメだって分かってても、どうしてもやっちゃいたくなるの。
病気なのかな……。」
うるうると涙目になるカイアさん。
うっ、なんだかこっちが悪いことをしている気持になる。
「それでね。
これを返しておくね。」
そう言うと、金貨20枚の入った袋を渡してきた。
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