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「ずぅヴぃヴぁァぁぜぇぇん」(すみませーん)
「はーい、なんですか? 今はちょっと……ひっ?!」
「なニガ……だヴぇるヴぉのォ、ヴだズぁぁヴぉねがヴぁぁいじヴぁァァず」(なにか食べるものを2つ、お願いします)
「みゆはタコさんソーセージのすぱげっちがいいです!」
「ヴぁドォ、ごぉォヴィーもぉぉ」(あとコーヒーも)
店の人らしきおばさんは返事もせずに奥へと走ってゆく。
愛想のない店員だなぁ。
とりあえず僕らは、店の端っこにあったテーブルゲームの席に座って、一息ついた。
外はゾンビだらけだ。警察もゾンビになってたし、救援は難しいだろう。
たぶん鹿翅島はもうヤバそうだし、アパートを引き払って本島の方にでも脱出しないと。
まぁそれはいい。僕はどうせ親とも絶縁してる気楽な独り身だ。
ただ問題は心優ちゃんだ。
身寄りもなさそうだし、本島に行ってもたぶん施設とかに入ることになるんだろうなぁ。
僕が引き取るってのも考えたけど、たぶんそんな簡単に許可も出ないだろうし。
それに、子供を育てたことも無い僕に彼女をきちんと育てられるとも思えない。
……いやいや、何を考えてるんだ。
犬や猫じゃないんだ。いや、犬や猫だってそうだ。命なんだ。
そんな簡単な気持ちで、家族になろうとか考えちゃいけない。
僕がそんな物思いにふけっていると、写真付きのメニューを一生懸命見ていた心優ちゃんが、なんだかもじもじしているのに気付いた。
「ヴぉおシヴぁァァのぉ?」(どうしたの?)
そう聞いても、彼女はまだもじもじしている。
何か食べたいものがあったのかな?
僕がもう一度促すと、彼女はおずおずとメニューの写真を指さした。
「みゆ、なだれポコ食べたいの」
彼女の指は「ナタデココ」を指さしていた。
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