0人が本棚に入れています
本棚に追加
僕はまた頬が緩むのを感じ、ご飯を食べ終わったら注文しようと約束する。
「やったー!」
足をぶらぶらさせながら両手をあげて喜ぶ心優ちゃんと僕の前に、ウィンナーの乗ったナポリタンと……ローストビーフ? 生肉? の山が恐る恐る置かれた。
喫茶店のおばさんは、引きつった笑顔で僕から離れる。
確かに「何か食べるもの」なんて曖昧な注文をしたのも悪かったけど、それはこの島がゾンビだらけになっている状況だから、何か出来る料理をお願いしただけであって、食材をくださいと言う意味で言ったわけでは無いんだけど。
さらにその横にコーヒーをコトリと置くと、おばさんは全速力で店の奥へと走って行った。
「いたーだきます!」
心優ちゃんは元気よく挨拶すると、ナポリタンを食べ始める。
仕方なく僕はコーヒーをすすって、試しにその肉の山から一切れ取り上げ、口に入れてみた。
……思ったより悪くない。
って言うか、朝に食べたソーセージと白米より全然うまい。
2~3切れ口に入れて、でもさすがに胸やけがした僕はフォークを置いた。
「おにいちゃんも、すぱげっち食べる?」
言うより先に、上手にくるくると巻いたナポリタンを僕の方へ向ける。
真剣な表情でナポリタンが落ちないようにバランスを取りながら「あ~ん」と言う心優ちゃんに、僕はまた少しニヤニヤしながら「ヴぁぁァ」(あ~ん)と、大きく口を開けた。
最初のコメントを投稿しよう!