伴場 理太郎(はんば りたろう)の場合

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 僕はまた頬が緩むのを感じ、ご飯を食べ終わったら注文しようと約束する。 「やったー!」  足をぶらぶらさせながら両手をあげて喜ぶ心優ちゃんと僕の前に、ウィンナーの乗ったナポリタンと……ローストビーフ? 生肉? の山が恐る恐る置かれた。  喫茶店のおばさんは、引きつった笑顔で僕から離れる。  確かに「何か食べるもの」なんて曖昧な注文をしたのも悪かったけど、それはこの島がゾンビだらけになっている状況だから、何か出来る料理をお願いしただけであって、食材をくださいと言う意味で言ったわけでは無いんだけど。  さらにその横にコーヒーをコトリと置くと、おばさんは全速力で店の奥へと走って行った。 「いたーだきます!」  心優ちゃんは元気よく挨拶すると、ナポリタンを食べ始める。  仕方なく僕はコーヒーをすすって、試しにその肉の山から一切れ取り上げ、口に入れてみた。  ……思ったより悪くない。  って言うか、朝に食べたソーセージと白米より全然うまい。  2~3切れ口に入れて、でもさすがに胸やけがした僕はフォークを置いた。 「おにいちゃんも、すぱげっち食べる?」  言うより先に、上手にくるくると巻いたナポリタンを僕の方へ向ける。  真剣な表情でナポリタンが落ちないようにバランスを取りながら「あ~ん」と言う心優ちゃんに、僕はまた少しニヤニヤしながら「ヴぁぁァ」(あ~ん)と、大きく口を開けた。
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