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第1章
次の日からも彼はしつこく話しかけてきた。
「ねぇねぇ、陽菜りん昨日のテレビ見た?」
「陽菜りん、ポッキー食べる?」
「陽菜りんはどんな男子がタイプ?」
しつこく話しかけてくる彼に苛立ちを感じた私はビシッと言おうとするとクラスの派手な女子からコソコソと話す声が聞こえてきた。
「杉崎さんって修斗くんに気に入られてるからって調子に乗ってない?」
「勉強だけしてればいいのにね。」
「ホント、それな!美玲ちゃんが修斗くんのこと好きなのはみんな知ってるのにね。明日から杉崎さんのことハブろうよ!」
「いいね!それ、決定~!」
どうやら、彼はモテているらしい…
まぁ、顔はカッコよく、気さくな性格だからわからなくわないのだが、やはり私は彼のチャラチャラした態度が気に入らない。
私が立ち上がり教室から出て行こうとした時彼はボソッと小さく
「ごめん。ウザかったよね。俺、調子乗りすぎた。明日からもハブられないように女子には言っとくから。」
「えっ!?」
私が聞き返そうとすると彼は逃げるように教室から出て行った。しかし、彼の耳が真っ赤に染まっていたのを陽菜乃は知らなかった。
次の日から、クラスの女子にやたら声をかけられるようになった。不思議に思っていると、彼と私が付き合っているという噂があるらしい。だから、彼女たちは私に媚を売ろうとしているのだろうか?しかし、トイレに入ると彼女たちの態度は一変した。
「あんた、何様のつもり?」
「修斗くんは美玲ちゃんの彼氏になるはずだったの!あんたが横取りするせいで美玲ちゃん、泣いてるんだよ!」
「あんたみたいな淫乱女にはこの姿がお似合いだよ!」
そう言って水をかけられたり制服を破かれたりした。けれど、私は絶対に泣かなかった。トイレから出ると彼が駆け寄ってきて
「大丈夫か?誰にされた?」
そう言いながら私にジャケットを掛けてくれた。
別の日も
「俺のせいだよな。ごめんな。責任持って俺が守るから。」
そう言ってくれた。いつの間にか彼は私の心の支えとなっていた。
この時まだ私は彼の異変に気がつけていなかった。
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