3話 後編

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目が覚めた時、そこは真っ白な空間だった。 「……よう、起きたか寝坊助」 「せんぱい……」 僕は先輩に抱えられていた。 ドクンドクン、と彼の身体からは規則的な心音が聴こえていた。 生きている―― 僕も、先輩も。 生きて、ちゃんと触れ合えている。 伸ばした手は彼に届いたのだ。僕は彼の隣にいる。 その事実が嬉しくて、嬉しくて。 「お前は本当に泣き虫だな」 「ごめんなさい……」 「別にいいよ。どんだけ泣いたって」 「せんぱい、ありがとうございます……」 彼の言葉に甘えて、僕は少しだけ泣いた。 嗚咽を漏らす僕の背中を、彼の優しい手はたどたどしい手つきで撫でてくれた。
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