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もし僕らがここで死ねば、それも運命が変えられたことになるのだろうか。
安城夏樹と窪塚満は世界から消えて、生まれてくる子供もいなくて。
世界は崩壊するのだろうか。
無限にループを繰り返す世界が、ついに終わりを告げるのだろうか
それとも、相も変わらずまた新しい僕らが生まれて、また悩みながら生きていくのだろうか。
……そんなのは、どうでもいいか。
例え世界が終わっても、続いても僕達には関係ない。
今この瞬間の僕達だけが、僕達だ。
僕達が選んだ選択は、僕達だけのものなのだから。
死ぬのは怖くなかった。
ただ一つ、心残りがある。
「……ねぇ先輩、」
「ん?」
「だ、抱いて下さい……」
僕の髪を撫でていた手がぴたりと止まる。
恐る恐る彼の顔を見上げれば、先輩は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていた。
……やはり言うべきではなかった。
ぶわっと顔が熱くなり、嫌な汗が全身に伝う。
あまりの居た堪れなさに何とか、先輩の手から逃れようと暴れたけれどそんな抵抗は意味もなく、抜け出すことは出来なかった。
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