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「なに、どうしたの?窪塚からそんな事言い出すなんて……もしかして薬でも盛られた?」
「違いますよ……!!ただ、ずっと僕の借金返済手伝ってくれてたのに、完済できなくて最初の約束も守れないって、申し訳ないじゃないですか……最後だし、そのっ、しょ……処女あげても、いいかなって……」
「真面目か……!!お前そこは、先輩の事が好きだから最後にエッチして、僕を大人にして下さい~、くらい言えよ!いいか、こういうのはムードが大事なんだよ」
「だ、だって誘い方とかしら、知らないし……!!」
「何が悲しくてさぁ……恋人同士なのに、契約に則って義務的にセックスしなくちゃいけないんだよー」
恋人というワードに思わず顔がにやけてしまう。
そっか、両想いで結ばれたから僕らはもう、恋人なのか。
僕がずっと欲しかった家族に、最も近い形。
この人になら、頼ってもいいだろうか。
一緒に居たいと言う我儘を、少しだけ居ても許されるだろうか。
僕は背伸びをして、先輩の唇に自分の唇をくっつけた。
子の人みたいに高度なテクニックとか持ってないし、今はこれが精一杯だ。
いつかの記憶の中で、一度だけ先輩に教えられた言葉を思い出す。
「せっ、先輩……!!ぼ、僕もうアソコが濡れちゃって……お願いです。先輩のっ……あ、アレで栓をして下さい!!僕の最初で最後を……貰って下さい……お願いします」
これが僕の、出来る最大限の誘い文句だ。
全部、先輩から教わった事だけど、それは僕が先輩以外知らない証拠。
必死で言葉を紡いだけれど、その言葉に先輩は盛大に吹き出し、その場にしゃがみ込んだ。
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