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目の前で光が弾けた。
続いて耳を劈くような轟音に、赤い鮮血が宙を舞う。
ブワッと肌が焼けるような熱風に、持っていかれそうな意識と身体をなんとかその場に踏み止まらせ、僕は端末の画面をスライドさせた。
画面上で点滅する赤い光は次々と消えてなくなり、この数分足らずで半分以下に減少していた。
――流石、鬼神と恐れられるだけある人だ
なんて感心している内にまた一つ、赤い光が――命が、途絶えた。
青い光が赤い光に覆いかぶさり消していく様は、まるで一昔前の陣取りゲームのようだ。
無数に蠢く白い光だけを器用に避けて、あの人を示す青色はもの凄いスピードでまた別の光を追いかけていく。
遠くで男の悲鳴が上がると同時に、また一つ光が消える。
残る目標は七人。
僕が今居る地点から目視できる距離にいるはずなにの、姿は見えない。
おそらく、どこか死角となる場所に身を隠しているのだろう。
僕は耳に掛けた無線機の電源をオンにして、相手の応答を待った。
『ん、』
ジージーと短い呼び出し音の後、ザザっとノイズ交じりに短く返事が返ってきた。
微かに荒い息、いつもより少し高い声。久しぶりの殺人に興奮しているのか、妙に熱を帯びた声にぞわぞわっと体が震えた。
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