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不味い、これは不味い……!!
今まで何度も失敗して身に染みているというのに、何たる失態。僕は慌てて無線機を耳から外して、声の聴こえる位置に構え直す。
『あと何人』
「な、七人です!僕の近くにいます」
『……ふーん、そっかそっか了解。今行くわ』
「え、ちょっと先輩……!あぁ、もう……」
出来るだけ事務的にと心がけたけれど、その努力も虚しく声は上ずったし軽く吃った。
その焦りはやはり向こう側にも伝わってしまったようで、随分と機嫌のよさそうな声と共に通信が切られた。
……最悪の展開である。あの態度、もう嫌な予感しかしない
会社から支給される無線機は無駄に有能で、彼の小さな息遣いや微かな声色の変化を鮮明に拾い上げてしまう。
まるで本人が耳元で喋っているかのような臨場感は、本当に、切実に心臓に悪くって。
普段ならまだ良いのだけれど、戦闘後の興奮状態の時のあの人は、男の僕でさえ変な気分になる程の色気を醸し出しているのだ。
何度か足腰に力入らず立てなくなった経験や、逆に立ってはいけない所が立ってしまった経験から、彼と無線で会話をする時は極力、支障の出ない位置まで耳から離すようにしている。
そして、この事がバレると決まってからかわれるので、本日も仕事終わりにいじられるのは確定事項だろう。
腰にクるってこういう事なんだなぁ、と僕は熱くなる顔にパタパタと風を送りながら自分の情けなさに小さくため息を吐いた。
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