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目標の位置確認を終え、能力の開放を抑えると、全身にどっと疲れを感じた。
朝一でこんなに疲れるなんて今日はついていない日だ。本当についてない。
ともあれ、僕のすべき仕事はこれで終わりだ。
非戦闘員である僕の役割は目標の座標確認と生死の判断。
後の仕事は戦闘員のバディに任せよう。
「そこの路地裏の、地下焼却炉の中に全員います」
声は聞こえただろうか。
フワッと熱い風が僕を追い越していった。
未だに歪む視界ではその姿さえも映せないけれど、確かにあの人の――安城先輩の気配を感じたからきっと大丈夫。
でも、返事くらいしてくれてもいいじゃないか……
僕たちは二人で一つの仲間なのだから。
もう本日何度目か分からないため息を吐き、僕は疲労感で竦む身体を叱咤して、ぼやける視界で目標の潜む路地裏へと足を進めた。
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