1話 後編

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死神が並行世界へと出向する際、世界からはいくつかの約束事が取り決められている。 その中の一つには『別世界の食べ物を口にしてはいけない』というものがある。 先述した通り、先輩は別世界の物を率先して収集して自世界に持ち込み、尚且つ現地での飲食等という暴挙も横行している訳だが、これも本当はペナルティの対象に当たるものだ。 理由は至極真っ当で、自世界で観測されていない菌や病気を持ち込まない為。当然な話だ。 それを破ると罰則だったり罰金だったりと、それなりに痛いペナルティがあるので、大半の人は規則に従っているのだが、たまにこういった馬鹿もいるわけで。 何て言ったってこの男、堅実主義で平穏と平和を愛する僕と違い、その日その瞬間が楽しければいい刹那主義者。 ペナルティを受ける恐怖より自身の好奇心を満たせればそれでいいのだろう。 僕には理解できない。 おかげ様で僕たちバディはお偉いさんたちからは心底嫌われている。 それどころか、食堂に行けば僕たちの座るテーブルには誰も座らず、毎度遠巻きにひそひそと陰口を叩かれる始末。 その息苦しさから逃げる為、今では重くても弁当を持ち歩くようにしているわけだ。 元々、『仕事は出来るが性格が最高にクズ』との悪名高い安城先輩だったので、バディを組む際にある程度覚悟はしていた。 僕にとっては一緒に笑い合う友よりも、人生楽勝出世コースよりも、目の前に積まれていく金の方が重要だったから。 ……でも、本音を言うとここまで酷いとは思わなかったんだよね。 今までに何度か検閲で捕まりペナルティを受けてきた先輩を真横で見ていたが、まさか自分が当事者になるなんて。いや、当事者に、されるなんて。 平穏に生きたい僕にとって、これ以上のマイナス評価はどうしても避けたい事項だった。

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