記録の彼方に夢を見る

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ほとんどの物事がAIによって回される社会。 人は仕事に就く必要をほぼ無くしていたのだから。 アンドロイド、ロボット、ジェミノイド。 自立型のAIを乗せた体には、かつてSFの大家と呼ばれたアイザック・アシモフの考えた三原則が工夫を凝らした上で搭載され、僕ら人類を心地好くサポートしている。そのサポートは見た目が同じ無機物からなる、フレームと呼ばれる体へ精神を移した人類にも分け隔てない。 機械よりも、有機物の体を持つ人類にこそ差別は残っている気もする。 最も、半永久の命を享受する事を避ける彼等の数は減っていた。 生まれる子供の減少に加え、遺伝子からの問題が時の経過ごとに積み重なり、短命化や不妊の問題は深刻化していたからである。 決定打は雄性の枯渇。 Y染色体の消滅による滅び。 X染色体ならば対になる同じ性染色体からの補完や修復が行われ、その遺伝子が短くなったり消滅する事は少ない。 女性が基本の型である人類は、オスを産み出すシステムである性染色体に最初から問題を抱えていたのだ。 対を持たないY染色体は、欠けた遺伝子を補う事なく短くなり続けるのだから。
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