記録の彼方に夢を見る

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だから環境の浄化は進められても、人類の衰退自体はどうしようもなかった。 僕らフレームと呼ばれる新人類ならば、ライフ・ログから抽出したアルバムチップによって不慮の事故で亡くなっても甦る事が出来るのに、有機物の体を捨てられない彼等は滅びの道を選んで進む。 それでも彼等と僕等の姿に大差はない。 ロボット達が機能性の重視から人の姿よりかけ離れた物が多いにも関わらず、フレームは自分の有機物で有った姿を再現して存在していたから。 その身に血液は流れなくとも精神は人だから、フレームは自らの姿を望めば変えられるのにそうはしなかった。 変わらぬ姿で、半永久的に存在する術を手にして。 融合するAIのお陰で、何もかもを正確に覚えたまま永い時を楽しむ。 寿命の制限を失くした僕等は、あらゆる事に挑戦出来たし、蓄積される思い出はデータとして自らが融合するAIの手助けによって詳細に保存、ファイリングされアルバムチップとして残されて行く。 余りに旧いデータは持っているだけでも邪魔だし、だからと言って捨て去るには不具合も生じるから思い出として残すのだ。 旧いアルバムチップは、日本ではお盆になると活用される事が多い。
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