18人が本棚に入れています
本棚に追加
ウオォォォォーン…。
その瞬間、アレはそんな唸り声みたいな音を不気味に響かせ、桶の中でプルプルと振るえたように僕には見えた。
だが、一瞬後にはまるで爆発でも起こしたかのように、巨大スイカはその緑と黒の皮付き果肉を四方八方へと飛び散らせる。
周囲から巻き上がる割れんばかりの拍手と歓声の中、僕はそっと近づいて、桶の中に残る砕けたスイカの残骸を覗き込んだ。
だが、僕の予想に反し、それは動くことも、もがき苦しんで痙攣しているようなこともない……普通のスイカの断片である。
ただ、普通のスイカと少し違っていたことといえば……
その千切れた果肉の断面は、それはそれは色濃く鮮やかな、まるで〝人の生血でも吸っている〟かのような、たいへんきれいな赤い色をしていた――。
最初のコメントを投稿しよう!