西瓜の赤い色は…

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 その反面、以前とは少し違っている部分も見られる……。  それは、その大きさである。  なんだか、以前よりも大きくなっているように思えるのだ。  それに色艶も心なしかよくなっているような気もする。  もしかして、成長しているのだろうか?  いや、収穫後一週間以上も経つのに成長するなんて、そんなバカなことがあるはずがない……はずがないのだが、僕にはどうしてもそのようにしか思えなかったのである。  そして、再び巨大スイカが売れたその翌日……やはり、スイカは店頭に戻っていた。 「………………」  僕は、再びその巨体の前で唖然とした……いや、絶句したと言った方がいいかもしれない。  慌ててケイタイを取り出し、昨日撮った写真と見比べてみたが、やはり今、目の前にあるそれと同じものに見える。  数分後、我に返った僕は慌てて店の奥へと首を突っ込み、いつもの如くごろごろとしている店長代理に改めて尋ねた。 「て、店長! あ、あのスイカ……あ、あそこにある巨大なヤツって今日仕入れたものですか? な、なんか、昨日売ったものが戻って来てる気がするんですが……」 「ああん? ……なに訳わかんねえこと言ってんだ? んなことあるわけねえじゃねえか」  醜悪な顔をした店長代理は、一瞬、なんのことだかわからないという表情で固まった後、気だるそうだが、妙にドスの効いた声でそう答えた。  確かに何も知らぬ者が聞いたら、まったくもって訳のわからない質問だったと思う。  売ったスイカが店に戻っているなど、やはり普通に考えればバカげた話なのである。 「そりゃおめえ、似てるだけで今朝仕入れた新顔だよ。スイカなんざ、みんな同しような顔してんだ。似てて当然だよ。それとも何か? おめえは色形大きさまで、昨日売ったスイカの面を一寸違わず完璧に憶えてんのかよ?」  さらに店長代理は、いつになく雄弁に僕を攻め立てる。 「い、いえ、そこまでは……」  そう強く言われてしまうと、はっきりそうだとは答えられない……。  この前、ケイタイで撮った写真にそっくりではあるが、本当に細部まで完璧に同じかと言われれば、そう言いきれる自信はないし、やはりサイズは昨日売ったものよりも一回り大きいような気がする。
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