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「…」
どれくらい時間が経ったのか分からない。
口の中は鉄の味がする。身体中痛いし、得体の知れない液体でどろどろだし、全体的に感覚がマヒしてる。無理に体を折り曲げられたせいかも。視界も霞んでるなぁ。いつの間にか足の戒めは取られているけど、ところどころ衣服は破かれていて見るも無惨な感じだろう。
「おい、反応しなくなったぞ」
「いいんじゃね、大人しくてさ…」
「言うこと聞く気になったのかもな」
ばーか、体力尽きなきゃ暴れてるっての。
「あんたらが…」
「ん?何だ、王子様喋れるんじゃん」
「あんまりにもへったくそだから気が抜けてさぁ」
「減らず口きくじゃねーか…お前この状況分かってんのか?」
ぐ、と首筋に両手が当てられ、力を込められる。
「言うこときかねーから、こうやって苦しい思いするってのに」
「…っ、んぐ…」
「ほら、命乞いしてみろよ」
「げほっ、ごほっ」
手が離され、咳き込む。
「……、あんたらの情けないもんじゃ、勃つもんも勃たねーよ」
「てめぇ…!」
また一発殴られる。あーあ、男前が台無しじゃん。どうしてくれる。
「ふぅ…ロディーノ殿下…」
アヴェルス卿が落胆した様子で俺の顎をすくう。
「…触んなよ、変態」
「その仮面のような笑みを崩して差し上げたかったのですが」
「残念だったな、お望みの結果にならなくて」
「全くですよ…せっかく、」
アヴェルス卿がさらに言葉を続けようとすると、扉が開いて従者が何やら告げた。すると、アヴェルス卿は手を離し、おもむろに立ち上がった。
「残念ですが私は一旦席を外させてもらいましょう…」
そう言い残し、去っていった。
足音が遠ざかっていく。
もう戻ってくんな。
「じゃあ俺たちは続けようぜ」
「…」
早く終わんねーかな。
痛みを感じながら、息を吸い込み、吐き出す。
男の一人が俺に馬乗りになった。
目を閉じ、殺されんのだけは勘弁、と思った時。突然扉が開いた。
一瞬、その場が静まり返る。
「……、っ、貴様ら!今すぐそこから退け!」
目を開ける。
よく見えない。
でも、わかる。
「怒るの、珍しーな…ジェラ…」
そこで意識が途切れた。
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