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ぽたり、と頬に雫がおちる。
うっすらと目を開けると、滅多に感情を爆発させない親友が、ボロボロと涙をこぼしていた。
「…なんで、ジェラが泣いてんの」
「…ごめんな…ロディ…」
「ジェラに謝られるようなこと、されてないけどなぁ…」
「遅くなった。こんなに、なるまで…酷いことをされて…」
「ああ…はは、大丈夫。こんなん、どうってことない」
「そんなわけないだろ…」
ぎゅう、と抱きしめられる。
痛みに顔をしかめると、「ごめん」とさらに謝られた。ジェラは助けに来てくれたのに、何でそんな風に辛そうにするんだろう。
「大丈夫だって…助けに来てくれたし」
「…」
「あのまま殺されたらどうしようかと、…そういえば、あいつらは…?」
「…。ロディは気にしなくていい」
優しく頭を撫でられる。
ジェラは腕っぷしが強いから、きっと簡単にあいつらを追い払えたんだろうな。
「…そういえば、ここ、どこ?」
「俺の家だ」
「運んでくれたんだな、ありがとう」
「…まだ治療、できてない部分があるんだ。しみるかもしれないけど、我慢な?」
それからジェラは、殊更優しく怪我の治療をしてくれた。消毒をして、ガーゼを当てて、包帯で巻いてくれて…俺が思った以上に身体中酷い有り様だ。
「…、…っ、あいつら」
「はは…めっちゃ暴れたからさぁ…しこたま殴られた」
「…痛かったな…」
「まぁな。でも好き勝手されたくなくてさ」
「そうだな…」
薬を塗られ、ぐ、と痛みに耐える。
ジェラの指が後孔に近づくが、躊躇うように宙を描く。
「触られたくないだろうけど…ここも、塗った方がいいと思う」
「んー、じゃあお願いするよ。ってか、別にジェラに触られんのは平気。ジェラが嫌じゃなければ、だけど」
「嫌なわけないだろ」
即答され、おもわず笑ってしまった。
ジェラはほんといい奴だなぁ。
後孔の周りと、それから中を浅く、深く探られ薬を塗られる。痛いし、しみるし、散々な状態だけど、ジェラが労ってくれてるのが分かってちょっとだけ安心した。
他の奴らに好き勝手されるのを不本意ながらも受け入れてしまった俺のこと、嫌いになったらどうしようかと思ってた。
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