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(シェス視点)
妙な奴だと思った。
あんなくそ王子のために、それこそ身を削るような思いをしてまで助けに行ったことも、助け出したあとに愛しそうにあいつを抱きしめたことも、俺としては「お前は一体何をそいつに求めてるんだ?」と首を傾げるばかりだ。
保身のためか、それとも付き合うことで何かメリットを得ているのか。
とりあえず用心に越したことはないから、監視も兼ねて教育係になった。嫌々だけど。
「で、見回りのルートはこれ。立ち入り禁止区域はここな」
「ありがとう」
「…」
…で、ここ数日の俺が見たこいつの感想。
文句を口にしない。
仕事を効率よくこなす。
愛想がいいから周りの連中に好かれてる。
真面目。冗談もそれなりに通じる。
親切で困った奴を放っておけない。
この国生まれのわりに真っ直ぐ。
知識と常識がある。
「お前、あの王子に弱味でも握られてんの?」
「えっ、どうしてだ?」
見回りをしながら問いかけると、本気で「何のことか分からない」という顔をされた。
「何であんな奴と親友なんだ? 弱味握られて言いなりにでもなってるのかよ」
「いや、特には…ロディとは仲いいと思う」
「ふーん。あいつと付き合うの大変そうだけどな」
「俺は負担に思ったことはないよ。周りには我が儘に見えることも、俺には可愛く見えるし」
「かわ…」
可愛い?!
おもいっきり眉間に皺を寄せると苦笑された。まさかあいつに対してそんな酔狂なことを思う奴がいたなんて。しかもそのまま「守ってやりたい」「俺にとって大切な宝物」「甘えてくるのが可愛い」「どろどろに甘やかしてやりたい」なんてのろけを聞かされるハメになった。
「お前が言ってるロディーノと、俺が言うロディーノは別人なんじゃないか?」
「いや、助け出したときにロディだっただろう?」
「…。…あんた、惚れてんの?」
「ああ、そうだよ」
「即答かよ」
「あの場面を見られたんだ。とっくにバレてると思ってたんだけどな」
にこりと毒気のない顔で微笑まれる。
その本気さにまた驚いてしまうが、まぁ世の中にはこういう奴もいるんだろう…
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