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…違う。
俺が腹立たしいのは、バージェ卿がジェラに対して酷いことをするからだ。ジェラが辛い目に遭うのが許せない。こんないい奴を無下に扱うなんて最悪だ。
「…俺のこと助けるとき」
「うん?」
「土下座したって」
「…っ、カッコ悪いところ知られたな…」
「カッコ悪くない!でも、ごめんな、俺のために嫌なことすることになっちゃって」
「ロディのためなら何だってするさ」
にこりと微笑みかけられ、その優しさに少しだけ胸が痛んだ。俺なんかのために身を削るようなことしてくれて…俺は何を返せるのだろうか。
「いや!俺の気が収まらない!お詫びに、何でも一個言うこと聞く!」
「……えっ」
ジェラは一瞬硬直したあと、目線をさ迷わせて困ったような表情になった。ジェラのことだから、きっと俺に負担のないようなことを考えてくれてるんだと思う。
「ジェラがしたいこと、教えて?」
「…か…っ」
「か?」
首を傾げるとジェラは真っ赤になった。熱でもあるのかな。もしかして最近忙しいから、体調が優れないのかもしれない…だったら早く解放してあげたほうがいいか。
「か、かい、買い物!買い物が、したい」
「へ」
「入り用のものがあって…ああ、量も、多くて、その、出来れば一緒に来てほしい…」
しどろもどろになりながらジェラが俺の手を握る。その手は熱くて、力強かった。
「そんなんでいいのか?」
「あ、ああ」
「優しいなー、ジェラ!」
「そ、そうでも、ない…」
ガックリと項垂れるジェラを見て、はて、と疑問符が浮かんだ。まぁとりあえず、買い物なんてお安いご用だ。
「じゃあ、次の非番の時でいい?」
「ああ…いつでも。ロディがいい時で」
「俺はどうとでもなるから、大丈夫だ!」
笑いかけながらジェラの手を握り返す。
最近ルーシェスに取られてばっかりだったから、独占したいなって思ってたんだ。
…。
それがあんなことになるなんて全く予想もしてなくて、このあと俺は、自分の浅はかさを、かなり後悔することになる。
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