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「ジェラと外に出るの久しぶりだよな」
「そうだな。最近何かと忙しかったから」
アヴェルス卿の一件があってから、もう1ヶ月ほど経っている。その間、アヴェルス卿の動きは特に何もなくて、視界にすら入ってこない。少し不気味だ。
「で、買いたいものって?」
「ああ…まぁ、日用品だな。でも、その前に色々店を見て回らないか?ロディも久しぶりの外出だろうし」
わしゃわしゃと頭を撫でられ、久しぶりのその感触に嬉しくなった。騎士になってからのジェラは、何となく俺の知らない人、みたいな空気を出すこともあって寂しかったからかもしれない。照れくさくてジェラには言えないけど。
「…」
「ロディ?」
「あ、ごめん。何か久しぶりだなーと思ってさ。そんなことより、ほら、あそこの店に入ってみよう!」
くすぐったいような、妙な感覚を振り払おうと、ジェラを引っ張って店に入った。
**
「やっぱりジェラと一緒にいるのが1番楽だなー」
「そうか?それならよかった」
気兼ねしなくていいし、ジェラは俺のことを理解してくれてるし、居心地がいい。俺にとってジェラはかけがえのない親友だよなぁ、としみじみ思う。
「ずっと一緒に居られたらいいのにな」
「…っ」
はた、とジェラが足を止める。
不思議に思って俺も立ち止まって振り向くと、ジェラは珍しく困ったような顔をしていた。
「ずっと?」
「ん?あー…まぁでも、ずっとは無理か」
「…どうしてそう思うんだ?」
「どうしてって…だって、ジェラもいつか結婚するだろ?俺とこんな風に遊び歩くのは無理になるって」
「…結婚」
「きっとジェラはあったかい家庭作るよな」
いい夫、いい父になるだろうな、と思う。
ジェラと結婚する人はきっと、幸せになる。
…そんな想像をして、なぜか胸が苦しくなるのは何故だろう。親友だってことは、この先も変わらないはずなのに。
「……ロディは」
「俺?んー、どうだろうな。結婚する気はないけど、縁談が色々来ててさ、面倒。ただ、貴族と繋がりもつのは何かと有利だし、結婚するのもいいかもな」
「…」
「ジェラ?」
冗談めかして告げると、ジェラは黙ってしまった。表情は読み取れない。
「…帰ろうか」
「へ?ああ、まぁもう遅いもんな」
その帰り道、会話はなかった。
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