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(ジェラルド視点)
「今までの関係でも良かっただろ?!」
そうだな。その通りだ。
「やめろ!聞きたくない!」
困らせてごめんな、ロディ。
でもこの気持ちを押さえることなんて、もうできなかったんだ。
**
ロディと会ったのは8年前。
あいつは、当時親からの風当たりが強かったり、周りの親類縁者や貴族から媚びたような扱いを受けたり、逆に嫌悪感を向けられたりと、まぁ王族にはありがちな後継者争いに巻き込まれていた。それだけでなく、兄への気持ちを自覚し始め、さらにどうしたらいいか分からなかったらしい。
初めて会ったとき、「…居場所がないんだ」とぽそりと呟き、寂しそうな顔をしていたのを覚えている。
ロディの楽しそうに笑う顔が好きだ。
キラキラと輝く笑顔が愛しい。
俺のことを信頼して、甘えてくれるのが嬉しい。
泣いていたら抱きしめたくなる。
俺がそばにいるよと、安心させてやりたい。
こちらを振り向いてくれなくても、「親友」という立場は死守してやると心に決めていた。
『縁談の話が出てるらしい』
『結婚してもいいかもな』
でも、シェスとロディからそれぞれそんなことを聞いて、急に恐ろしくなった。
いつも俺がそばにいたのに。ロディの隣は、俺の特等席だと思っていたのに。
でも違うよな。
いつかロディは結婚して、家庭をもって、子どもが生まれて…俺は、そばにいられなくなる。今までのように接してくれなくなる。
分かっていたのに。
そんなこと、分かっていたのに…
「俺と家族になってほしい」
ああ、そうだ。これが本心だ。今まで隠していただけだ。本心を殺そうとしていただけなんだ。
…。
ロディ、お前のことが世界で一番愛しい。
欲望に際限なんてないから、きっと、これ以上そばにいたら…もっと欲しいと願ってしまう。
だからロディ、俺のこと、嫌いになって。
こんな傲慢で我が儘な奴からは、逃げて。
それで俺の心を、殺してほしい。
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