第2章 王子様の親友

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第2章 王子様の親友

昔々、あるところに、腐敗の進んだ王国がありました。以前は神と精霊に祈りを捧げる、敬虔で健全な国でした。しかし、年月が経つにつれ、神や精霊を信じる人が少なくなってしまったのです。 王様はそんな現状を、見て見ぬ振りです。 貴族たちは好き勝手し放題で、お金を際限なく使ったり、民衆から税金をたくさんとったり、気に入った女の人や子供を拐ったりしていました。 そして、民衆たちには、次第に不満が溜まっていきました。このままでは、いずれ暴動が起きるかもしれません。 さて。 この国には、王子様が3人います。 長男の名は、レミジオ・トレイティア。 艶やかな黒の髪で、銀の瞳をもち、一見鋭利で冷たい印象を与えますが、外交では巧みな話術を発揮し、国を支えています。即位の準備を進めています。この国の腐敗を一掃しようと計画しているようです。また、欲しいものを得るためならば、どんなことでもします。 次男の名は、ロディーノ・トレイティア。 茶の髪で、深い青の瞳です。明るく人懐っこくて、王宮内でも人気者です。面白いことや楽しいことが大好きで、そのためならば努力を惜しみません。兄のことが大好きです。好きで好きで好きすぎて、色々と暴走しては親友に宥められています。親友のことも大好きですが、兄への好きとは違うようです。 三男の名は、ヴェルネル・トレイティア。金髪で、銀の瞳です。政治に興味がありません。むしろ、王子になんて生まれなきゃ良かった、と思っています。暇さえあれば本を読んでいます。知識が豊富で、たくさんのことを知っています。他国に留学したいようですが、自国の情勢が不安定なため、なかなか行くタイミングがつかめません。 また、実は周囲も知らない、4人目の王子様もいます。四男です。名は、アイリール・トレイティア。 銀の髪と深い青の瞳を持ち、他者を魅了するような危うい風貌なんだとか。 認められていない婚外子のため、巫女たちが住まう宮殿のさらに先、『奥の殿』と呼ばれる場所に軟禁されています。 そんな王子様… 特に、次男のロディーノ殿下が引き起こす騒動は、思わぬ方向に転がっていくこととなるのですが… ロディーノ殿下に想いを寄せる親友も巻き込まれることになったのは、必然なのかもしれません。
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