第7章 それぞれの想い

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「何かあったのか?」 マグカップを受け取りながら、ぼんやりとジェラを見つめる。 何か、といえば…そりゃ、兄さんとのことだけど。ジェラから告白を受けている身としては、どうしても伝えることができない。 「なんでも、」 「『何でもない』ってロディが言うときは、大抵強がってる時だよな」 「…」 「さらに言うと、ここまで憔悴してるって時は、兄貴関連だ」 ダメだ、ジェラには全て見抜かれてしまってる。取り繕おうとしても無理だ。 「…、ごめん…」 「謝らないでいい」 「でも」 「俺は、こうして頼ってくれて嬉しいよ」 「…でも」 「弱ったときに俺のことを思い出してくれたんだよな」 「……それは…」 「ありがとう。俺のところに来てくれて」 優しく抱きしめられる。この感覚はすごく久しぶりだ。あたたかくて安心する。 でも… 「ジェラ、俺みたいな奴に優しくしちゃ…ダメだろ」 「どうしてだ?」 「だってさ、…今さらかもしれないけど、お前の気持ち、踏みにじるようなこと、してる」 「?そんなことない」 「…っ、何でそんなに俺に甘いんだよ!」 「何でって…好きな相手を甘やかしたいって思うのは普通じゃないか?」 さらっと言われた言葉が胸を刺す。苦しい。 「だって、俺…今までお前の気持ち分かってなくて、…知らないフリ、してて…それなのに兄さんとのこと相談してさ、たくさん傷つけた、だろ」 「傷付かなかった、って言うと嘘になるけど…俺はそんなロディも含めて、好きになったから」 「…、」 「だから、こうして頼ってくれて本当に嬉しい」 柔らかく髪を撫でられる。 この心地好さに流されたらダメなのに、今まで散々甘やかされることに慣れてしまったからなのか、全部委ねてしまいたくなる。 「ロディのためなら、何だってするさ」 「…ジェラ」 「俺の『特別』だから」 「…特別…」 欲しくて欲しくてたまらなかったものを、ジェラは惜しげもなく与えてくれる。それがどんなにすごいことなのかを、今まで見て見ぬふりをしてたんだ。 「…好きだよ、ロディ」 その言葉への答えを出す勇気が、俺にはなかった。
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