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(ジェラルド視点)
すやすやとベッドで眠るロディの髪を撫でる。
泣き疲れたんだろう。触れても特に反応がないほど熟睡している。久しぶりに寝顔を見ることができて、純粋に嬉しいと思う。
これ以上そばにいたら、ロディへの欲求が抑えられなくなりそうで…俺はロディに想いを告げることで距離を置いてもらおうとした。我ながら卑怯だけど、嫌われた方がロディのためにもなると思った。実際、ロディは俺と距離をとっていた。
俺も見かけても近寄らなかったし、話しかけることも、笑いかけることもしなかった。このままずっと俺を避けて、嫌悪して忘れ去ってくれるなら、それでいいと思った。
ただ…
雨の中、傘も差さずに俺の家の前に立ち尽くしているロディを見たとき、胸が鷲掴みにされるような苦しさを感じた。同時に、想いを告げたのに俺のところに来てくれたことに歓喜した。
(俺を頼ってくれた)
辛くて悲しくてどうしようもないときに、俺を頼ってくれた。他の誰でもない。俺にだけ弱さを見せてくれる。ロディは俺を傷付けたというけれど、そんなことどうでもよくなるくらい嬉しかった。
ロディは多くは語らなかったけど、どうやら兄貴と揉めたらしい。俺を傷付けないようにという配慮からか、慎重に内容と言葉を選んでいるように見えた。そんなところも愛しいと感じてしまう。
ひとまず、しばらく顔を合わせづらいということは分かった。
「…ロディ」
そっと額に口付ける。
愛しいロディ。他の誰を想っても構わない。でも俺が必要というのなら、自分から進んで俺の元に来るのなら、もう逃がさない。
優しい声と言葉で甘やかして、ずっと味方でいるよ。だからいつまでも俺を頼ってほしい。俺がいないと生きていけないくらいになればいいのに…なんて、狂暴な想いが顔を出す。
自分の醜い気持ちにはきちんと蓋をするから。
俺のそばに、いて。
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