第8章 その気持ちに名前をつけるなら

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「一緒にいると安心するし、そばにいたいって思うし、キスもセックスもしたし、ジェラからは『好きだよ』って言われてるんだけどさ…これって親友の域越えてるよな?俺としては今までずっとジェラのこと友達だとしか思ってなかったんだけど、ジェラから告白されてどうしたらいいか分からなくなったんだ。逃げてばっかりで、そのくせ弱ったときにだけ頼るとか最低だよな…。なぁ、俺どうすればいいと思う?」 「……今さら、何言ってんの…?」 俺のふかーい悩みを打ち明けられたヴェルネルは、ドン引きといった顔で俺を見た。酷い。 「お兄ちゃんが悩んでるんだ!親身になって聞いてくれよ!」 「もうほんと意味がわからない…」 「なんでだよー」 「あのさ!そもそも、ロディ兄さんのレミジオ兄さんへの気持ちとか、ルーシェスとレミジオ兄さんとの、その…色々なあれとか…、そういうの、巻き込まないようにしてくれてたじゃん。なのに何で親友との話には巻き込むわけ?!」 「あ、やっぱり気付いてて何も言わなかったんだな、ヴェルネルは」 「気づかないわけないだろ。別に嫌悪感とかはないけどさ、巻き込まれても、…こ、困る」 「えー。聞いてくれよ。ヴェルネルだってそういうことは気になるだろ?!」 「…」 「え?なるよな?」 「…ならない」 「はー?!そんなの健全じゃない!!」 「兄さんたちは爛れすぎだから!!」 「そりゃレミジオ兄さんと俺は男とも女とも経験あるけど、爛れてはいないっての。俺だってジェラとだけだし」 「だ、だから、そういう家族の性事情とか聞きたくないから…! 」 「それこそ今さらだろ。俺たちは子作り的な意味で、とっくの昔に女の人宛がわれて勉強を…って、ヴェルネルもそうだろ?」 「…」 「…」 「…してない」 「嘘だろ?!王族としてそういうことも教えられるはずだ!」 「そ、そうだけど!ダメだったんだよ!」 「…?」 「女の人が、怖い、から…その、ダメなんだって。叔母上とのこともあるし、何ていうか…ゾワッとするんだ」 「あー、うーん…まぁ、そうだよなぁ」 「だから俺にそういう話題振ってもアドバイスなんてできないから」 ヴェルネルは立ち上がり、足早に部屋を出ていってしまった。他に相談できる人いないんだけどな…。
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