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「俺…ジェラのこと、好きだよ」
「ん?ありがとう。俺もロディが好きだよ」
「…うん」
柔らかく微笑まれ、それ以上何も言えなくなってしまう。この何ともいえないもやもやした気持ちをどう表現すればいいのか。
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「…」
ぼんやりと穏やかな中庭を見つめる。
奥の殿はいつ見ても綺麗で、そしてそれゆえに歪んで見える。ここはこの国の腐敗の象徴でもあるから。
主のいなくなった部屋を無感情に見る。
隠されていた弟…アイルが居た部屋は、今はもう誰も使っていない。つい先日、ルーシェスが連れ去ったと聞いた。
あの二人は、もうこの国に戻ってくることはないだろう。
「…アイルは諦めなかったんだな」
単純にすごいと思う。
アイルは、(どこがいいのかはさっぱり分からないけど)ルーシェスと共に生きることを勝ち取った。
「……俺は、散々傷つけたからなぁ…」
今さらジェラに信じてもらえないのは、自業自得だ。アイルみたいに諦めなければ想いは届くのだろうか。
『ロディのことが好きだよ』
『ありがとな!俺も好きー』
ついこの間まで交わしていた、些細な会話。
ジェラはどんな気持ちで言っていて、どんな気持ちで俺の言葉を聞いていたんだろう。
「何か罪悪感がすごいな…」
申し訳なさすぎてへこむ。
こんな俺が言う「好きだ」という言葉を信じてもらえないのは当たり前だ。
ジェラはもう、俺のことなんてそういう意味で好きじゃないのかもしれない。俺のことが重荷になったのかもしれない。それとも…これ以上そばにいたら辛いと思ったのか、それとも俺を見限ったのか。
視界が歪む。
別に嫌われたわけじゃない。
話せなくなるわけでも、遠くに行ってしまうわけでもない。ただ、ジェラは、
「結婚、祝福してやらないと」
俺と一緒にいることを止めただけだ。
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