第2章 王子様の親友

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「そういえばさ、俺には弟がいるんだけど」 「知ってるけど」 「いや、ヴェルネルじゃなくてさー、もう一人」 「王子は3人じゃなかったか?」 ジェラは俺に水を手渡しながら首を傾げた。そう、確かに公に発表されてるのは3人だ。俺と、兄さんと、弟のヴェルネル。 「実はさ、もう一人いたんだ!」 「へぇ、初耳だな」 「たまたまこの前奥の殿に行ったら、昔、城に仕えてたカティアっていうメイドにそっくりな巫女がいてさ。兄さんはカティアにべったりだったから、きっと教えたら喜びそうだなって思ったんだ。で、その巫女のこと調べてみたら、なんと俺の弟だったんだ!」 「いや待てロディ、巫女? 弟なんだろ?」 「そー。カティアは死んじゃったみたいで、その弟が余計なこと話す前に城で引き取ることになったみたいで。でもうちの父上殿も扱いに困ったらしくて、面倒だから奥の殿に軟禁することにしたんだってさ」 「…酷い話だな…」 カティアはいつの間にか仕事を辞めて城を去ってしまったんだけど、今考えてみると、国王の子どもを身籠ったことが分かったからかな、と思える。自分から姿を消したのか、それとも父上殿が追い出したのかは分かんないけど。
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