ブルーシェル

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 やっと登山道から抜け出して、ほっと気を許したところで、突然目の前に現れたその生き物に里奈達は一瞬立ち尽くしてしまった。  “それ”は小型の小動物で、全身ぬめりを帯びた白い皮膚をしており、まるでたった今生きたまま、皮をはぎ取られたかのようだ。  夕方の光を反射した目がグレーの光を放っている。4本足で身をかがめた姿は、猫の様にも見えるが、何より不気味だ。 まさにそういう生き物を探しにここにやって来て、いつでも撮影する心構えは出来ていたはずだった。 ここに来る前に三国が言っていた未確認生物――UMAなど、存在さえ疑わしいし、仮にいてもめったに撮影出来る様なものではない。 そういう気持ちは確かにあったが…… 。 「出た出た、いたよっ」  そう言ってビデオカメラを構えた三国の行動で、皆我に返った。里奈と香織は“それ”を刺激しないようにゆっくりと道幅に広がってiPhoneで撮影し始めた。
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