人を好きになる理由

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「僕は人を好きになるってことが分かんないんだよね」 馨の言葉に俺は首を傾げるしか無かった。 もしそれが本当だとして、ならどうして馨は俺と付き合っているのか分からなかった。 「それってどういうことだよ......?」 もしかして、馨は俺を......? 「あぁ、勘違いしないでね」 少し恥ずかしそうに早く指を打った。 「明彦のことは大好きだから」 良かったと胸を撫で下ろしたけれど、疑問は消えなかった。 「ならどうして?」 そう聞いた瞬間、馨の指が僅かに震えた気がした。 「明彦には話して無かったけど......」 俺は馨の言葉が信じられなかった。 「僕から音を奪ったのは両親なんだ」 「虐待されてたんだ」
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