プロローグ

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そんなことを考えていたら、胸元のスマートフォンが震えた。 これが俺とアイツの待ち合わせの合図だった。 今、目の前にいるのだろう。 「馨、おはよう」 高宮馨(たかみやかおる)に声をかけると、右手の甲を2回トントンと叩いてきた。 開いた手の中で「言葉」を返してくる。 「明彦(あきひこ)、おはよう」 「待たせてゴメンね」 「別に気にしてない」 そう言って、俺も馨の手の平に「大丈夫」と言葉を返した。 これが俺たちの会話。 俺と馨の世界だ。
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