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俺と馨の出会いは高校3年の初夏だった。
その出会いは、最悪と言っていいだろう……
ある日、通学に使う駅を白杖を突きながら歩いていた。
それまでの俺は、希望に溢れていた。
高校1年でボクシングのプロライセンスを取得し、これからプロボクサーとして栄光に向かって行くはずだった。
ある試合で格上の選手と試合をした。
拮抗した展開から徐々に優勢になった。
勝てる!
そう思って一気呵成に攻めた矢先……
相手の頭が俺の右目に当たった。
バチバチとした痛みが走り、視界は見えなくなった。
そしてそのまま連打を浴びて俺は負けた。
試合後、俺の両目は酷く腫れていて病院に直行した。
そして、医師から宣告されたのは正に絶望的な言葉だった。
両目の網膜剥離と眼窩底骨折。
さらに、折れた骨が視神経を傷つけていた。
俺に告げられたのは、両目の失明だった。
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