第五章 覚醒

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 鳳羅須は聖鳳を抜刀し、正眼に構えた。娑羯羅(しやがら) はそれに呼応するよに小太刀を抜き、逆手に構える。 「難陀(なんだ) では、貴様を倒すこと叶わぬようだな」  小太刀の刃が怪しげな輝きを放つ。鳳羅須は相手の武器も神器であることを悟った。 「だが、あたくしは貴様と同じ神と血を分けし者、他の竜王とは違う」 「ほう、どう違う?」 「それは貴様がよく知っておろう? 神の能力が開眼されれば、我らの能力もその影響を受け強くなる。つまり、完全に覚醒している兄を持つあたくしと、不完全な状態でいる摩瑜利の姉弟である貴様では、その能力に明らかな差がある」  なるほど、これで自分の能力が高まっている理由の裏付けが取れた。やはり、摩瑜利の影響だったか。  鳳羅須は、光奈が充分自分たちから離れた事を確認した。 「勝負は能力だけで決まるものではない」  一気に間を詰め斬りかかる。娑羯羅(しやがら) はギリギリで避けると鳳羅須に小太刀の切っ先を突き出した。 「くッ」     
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