第五章 覚醒

39/51
前へ
/333ページ
次へ
 娑羯羅(しやがら) が光奈の手首をつかんだ。 「ヤダッ、離して!」 「おとなしく、あたくしと来い」  華奢な外見には似合わず凄い力だ、いくらもがいても娑羯羅(しやがら) の指は光奈の腕に食い込むばかりで、少しも緩まない。 「イタイ、離して……」  不意に腕の痛みが消え、足元の近くに何かが突き立った。  見ると今まで娑羯羅(しやがら) が立っていた場所に、ドライバーが突き刺さっている。娑羯羅(しやがら) は光奈から五、六メートル離れた場所に飛び退いていた。 「さがれッ」  背後から鋭い声が響いた。 「真明くん!」  鳳羅須が光奈をかばうようにして立ちはだかった。
/333ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加