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「残念だったな、竜爪の間合いはお前が思っているよりも広い」
とっさに身をかわしたが避けきれず、頬が焼けるように痛んだ。
「なるほどな……」
さらに数歩、後にさがる。
「そんな事をしても無意味だ」
竜爪が向けられ、見えない刃が放たれる。
鳳羅須は聖鳳を一閃した。何の変化も音も無かったが、確かな手応えがあった。
娑羯羅 の顔が一瞬こわばり、再び竜爪を向ける。
聖鳳が閃き、見えない刃はまた叩き落とされた。
「くッ」
幾度となく娑羯羅 は小太刀を向けたが、その度に素早く振るわれる聖鳳に阻まれ、見えない刃は鳳羅須に届くことはない。
「莫迦な……」
鳳羅須は娑羯羅 が竜爪を向けてから、見えない刃が届くまでの時間を見切っていた。
今度は聖鳳から光の刃が放たれた。
娑羯羅 は竜爪でそれを阻む。
が、光の刃すぐ後ろに鳳羅須がいた。彼は放った刃を追ってきたのだ。
娑羯羅 に体勢を整える暇は無かった、聖鳳刀の実刃が首に迫った。
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