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鳳羅須の視線の先には、巫女装束の女と狩衣姿の男が現れた。
巫女と陰陽師だ。
光奈はとっさにそう思った。
「西軍の最強の鬼霊、八大竜王を四人、和修吉 も含めて五人を葬るとは、うぬの能力、妾 の予想を大幅に超えておる」
「……………」
鳳羅須はこわばった表情のまま、巫女を睨みつけている。光奈は自分たちが置かれた状況が、今までよりもさらに最悪であることをヒシヒシと感じていた。
「殺すには惜しいが、生かしておけば必ずや禍となろう。うぬにはここで死んでもらう。その上で……」
巫女は視線を光奈に向けた。
「そこにおるのが、本物の摩瑜利か確かめさせてもらう」
この言葉が終わる直前、陰陽師の手元から何かが飛び出した。それは一瞬にして膨張した。
鬼……?
それは巨大な鬼に見えた。大鬼が三匹、鳳羅須に襲いかかった。
が、次の瞬間、鬼たちは燃え上がり、かき消すようにいなくなった。まるでマジックでも観ているみたいだ。
光奈に見切ることは出来なかったが、鬼たちは聖鳳で斬られ、本来の姿の呪符に戻り、燃え尽きたのだ。
「く……」
うめき声が鳳羅須の口から漏れた。急に時が止まったように、ピタリと身体が動かなくなった。
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