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「フフフフ……まだこの難陀 の術を破るほど、力は強くなっておらぬようだな」
巫女は歩み寄り、その手から聖鳳刀を奪い取ると、鳳羅須の首筋に刃を当てた。
「うぬが娑羯羅 にしたように、その首、刎ねてくれようか。同じ神と血を分けし者、同様の末路がよいじゃろう。それとも……」
難陀 は刃を鳳羅須の首筋から離し、今度は頭に乗せた。
「我が弟と同じく、その頭叩き割ってくれようかッ」
光奈には解った。難陀 は抵抗できない鳳羅須の恐怖を煽り、いたぶろうというのだ。
「優鉢羅 」
難陀 は聖鳳を背後で控えていた陰陽師に渡した。
「真明の両腕両脚を斬り落とし、頭をかち割った上で首を刎ねよ」
「御意」
優鉢羅 は聖鳳刀を振りかぶった。
光奈は震えを押し殺し、何とか声を振りしぼろうとした。
「やめて!」
空を裂くような叫び声が響く。しかし、それは光奈の口から出た物ではなかった。
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