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次に目が覚めた時には部屋は真っ暗で、大分部屋の中の空気も冷え切っていた。恐らく寝落ちしてから2~3時間は経っているだろうか。まだ重い瞼を開けないままでそんな事考える。肌はクーラーの風に当てられて冷えているが、寝ていた所為か内臓や脳味噌はぽかぽかと温まっている気がする。半ば夢の中に居る様な微睡を感じながらも、体がやけに重い事に気が付く。
まだ寝足りないんだろうか、それともクーラーに当たり過ぎたのだろうか。
体が鉛の様に重い。腕どころか、指先も動かない。
流石に異変を感じていると、全身が動かない事に気が付いた。それに気が付いた瞬間に右の耳元でアニメの女性声優の様な可愛い笑い声が聞こえてきた。楽しそうな声だった。これは俺が好きなギャルゲーの妹キャラの声だ。すぐ近くに声を感じながら、動かない体に関しては案外冷静に「あぁこれが噂には聞く金縛りというやつか」と思った。
見えていなければ案外怖くないものだなと思っていると気が付いた時には笑い声はすっかり消えていて、体も自由に動く様になっていた。しかしこれで目を開けて血みどろの女の子の幽霊が居たら失禁ものだなんて考える。
不安な気分になりながらゆっくり目を開けると、そこには自分の不摂生を体現したまん丸いお腹しかなかった。少しだけ幽霊でもいいから可愛い美少女キャラが目の前に現れたらいいなぁと思っていた俺は、机の上に並んでいる嫁たちのフィギアを見詰め溜息を吐いた。
「こんなに好きでも二次元からは出てきてくれないのか…」
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